シュティールHG-162(グーデリアン用)
ドライバーからマシンデザイナーへと転進したフランツ・ハイネルが超伝導リニアホイール、ローリングコクピットという新システムをひっさげて投入した新発想のサイバーマシンである。超伝導リニアホイールは第10回大会からのレギュレーション変更によって、かってハイネルが所属していたS.G.Mチームが初めて導入したシステムで、マシンのホイール内に組み込んだ超伝導モーターに大電流を流し込み永久駆動を生み出す駆動方式である。S.G.Mでは電源として単結晶太陽電池も使用していたが、レース当日の天候も重要なファクターになるため、ハイネルは新たに光学活性触媒を使用した電動機を考案。それによってどんな状況でも安定した電力を得ることに成功した。さらに、内燃機関をはるか上回る耐久性を備えており、レース生存率も大幅に向上することとなった。事実、シュテールがリタイアした要因の大半は他社との接触によるアクシデントやドライバーのミスによるものである。もう一方の特徴であるローリングコクピットは超伝導リニアホイールのシステムのデメリットを補う過程で生み出されたシステムである。4つの車輪全てに超伝導モーターを組み込んだ結果、重くなった車重を削除するために極限までコクピットの簡略化が行われた。オートバイのようなライディングスタイルもそのためではあるが、結果マシンの重心が高くなってしまったのである。しかしハイネルはこの高い重心を逆に利用し、オートバイのように車体自体をスイングさせることによって。コーナリング時の荷重バランスを制御するというシステムを考案したのである。この2大システムを有して投入されたシュティールHG-161は開幕戦から見事に表彰台を獲得し、ハイネルの理論が間違っていないことを証明して見せた。

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